熨斗紙は世界にもある?海外の贈答文化との比較
熨斗紙(のしがみ)は贈答の際に欠かせない存在ですが、日本以外にも似た文化はあるのでしょうか?また、もしあるとしたら、それらはどのような形をしているのでしょうか?
例えば、中国の紅包(ホンバオ)のようにお金を包む文化や、韓国のポジャギのように布で贈り物を包む風習など、日本の熨斗紙とは異なる形で贈答文化が根付いている国もあります。一方で、ヨーロッパやアメリカでは、ギフトラッピングやリボンを使った包装文化が一般的です。
このページでは、日本の熨斗紙と海外の贈答文化を比較し、それぞれの特徴や背景を詳しくご紹介します。
日本の熨斗紙とは?
ご存知の通り、日本においての熨斗紙は、贈り物に感謝や祝意を示すために添えられる装飾紙です。
通常、白地に紅白の水引が結ばれており、水引の結び方や色によって用途や意味が異なります。

例えば、お中元やお歳暮では熨斗紙が広く使用され、特にビジネスシーンでは取引先への贈答品として欠かせません。
また、結婚式ではご祝儀袋としての熨斗紙が用いられ、新郎新婦への祝意を表現する重要なアイテムとなっています。
熨斗紙の用途と水引の種類
熨斗紙は結婚式、出産祝い、お中元、お歳暮、弔事など、さまざまな場面で使用されています。
花結び
何度でも結び直せることから、出産祝いや入学祝いなどに使用。
結切り
一度結んだら解けないため、結婚式や快気祝いに適用。
あわじ結び
強い結び目を作るため、結婚祝いなどに多用。
赤棒
粗品や記念品など、ちょっとした品を贈る場合に。
地域による熨斗紙の違い
関東
シンプルなデザインが好まれる。
関西
装飾が華やかなものが多い。
九州
伝統工芸や地域の特色を活かした熨斗紙のデザインも見られる。
地域によって細部は異なるものの、全国的には共通している部分が多く、基本的なマナーや用途は大きく変わりません。
世界の類似した贈答文化
日本の熨斗紙とまったく同じものは海外には存在しませんが、贈り物に特別な包装や装飾を施す文化は多くの国で見られます。
たとえば、中国の紅包(ホンバオ)では赤い封筒にお金を包んで贈る習慣があり、これは日本のお年玉に似た贈答の形です。また、韓国ではポジャギと呼ばれる美しい布で贈り物を包む文化が根付いており、見た目の美しさだけでなく、再利用ができる点でも環境に優れた方法とされています。
一方、欧米ではリボンや包装紙を用いたギフトラッピングが一般的であり、特にクリスマスや誕生日などの特別な日には、華やかで装飾性の高いラッピングが施されます。これは日本でもよく見かけますね。
これらの文化はそれぞれ異なる形で発展してきましたが、共通しているのは、贈り物をただ渡すのではなく、包装や装飾によってより価値のあるものとして演出する、相手を思いやる、という考え方です。
アメリカ:ギフトラッピング文化
アメリカでは、ギフトのラッピング文化が発展しており、特にクリスマスや誕生日には派手な包装が好まれます。
多くの人がギフトバッグやリボンを用いた装飾を施し、イベントの雰囲気を盛り上げる傾向があります。
また、バレンタインデーや感謝祭などの特別な日に、テーマに沿ったギフトラッピングが行われることも一般的です。贈る相手やイベントに応じて工夫され、華やかさと心遣いを表現する手段となっています。

ギフトバッグとリボン
クリスマスや誕生日の贈り物では、カラフルなギフトバッグにリボンを添えるシンプルで華やかなスタイルが定番。
テーマラッピング
感謝祭やハロウィンでは、季節に合わせた柄の包装紙やリボンが用いられることが多い。
プレゼントボックス
高級な贈り物には、豪華なボックスにサテンリボンを巻きつけた包装が一般的。
DIYデコレーション
家族や友人へのギフトでは、ステッカーや手書きのメッセージを加えることで個性的なラッピングを楽しむこともある。
中国:紅包(ホンバオ)と礼金文化
中国では、熨斗紙に相当するものとして「紅包(ホンバオ)」があります。
これは、赤い封筒にお金を入れて贈る習慣で、特に旧正月や結婚式、誕生日などで用いられます。紅包は古くから幸運や繁栄を象徴する赤色を用い、特に家族や親しい人に贈られることが一般的です。また、企業間の関係強化のために贈る場合もあります。
さらに、金額には「8」の数字を含めることが縁起が良いとされ、逆に「4」は不吉な数字とされ避けられる傾向にあります。この習慣はデジタル化も進んでおり、近年ではスマートフォンアプリを通じて電子紅包を贈ることも増えています。

赤色の意味
赤は幸運と繁栄を象徴し、不吉な黒や白は避けられる。
贈る際のルール
金額は縁起の良い「8」を含むものが好まれる(例:88元)。
韓国:ポジャギ(보자기)
韓国では、「ポジャギ(보자기)」と呼ばれる伝統的な布で贈り物を包む習慣があります。
ポジャギは再利用可能で環境に優しく、美しいデザインが特徴です。もともと朝鮮王朝時代から伝わる文化で、宮廷や庶民の間で広く用いられてきました。
ポジャギの布には、シルクや麻、綿などさまざまな素材があり、特に祝い事では鮮やかな色が使われます。色にも意味があり、赤は祝福、青は長寿、黄色は富を象徴するとされています。
現在では、贈答用の包装としてだけでなく、インテリアやファッションアイテムとしても活用されることが多く、伝統と実用性を兼ね備えた文化として根付いています。

主な用途
結婚式や誕生日の贈り物に使用。
色の意味
赤は祝福、青は長寿、黄色は富を象徴。
ヨーロッパ:ギフトラッピングとリボン文化
ヨーロッパでは、日本の熨斗紙のようなものは存在しませんが、贈り物をリボンや包装紙で装飾する文化があります。特にクリスマスや誕生日などのギフトには、華やかなラッピングが施されます。これは日本でもお馴染みですね。
イギリスでは、クリスマスの贈り物に特別なラッピングを施す習慣があり、装飾のデザインや色合いが毎年のトレンドとして話題になります。また、フランスでは高級ブランドが独自のギフト包装を提供しており、上品な包装紙やリボンを使用することが一般的です。
ドイツでは、環境意識の高まりとともに、リサイクル可能なシンプルな包装が好まれる傾向があります。さらに、欧州全体で「ホストギフト」としてワインや花を贈る文化が根付いており、これらも美しくラッピングされることが多いです。

イギリス
クリスマスギフトには特別なラッピングを施し、装飾が重視される。
フランス
高級ブランドのギフトは、上品な包装とリボンが標準。
ドイツ
シンプルで落ち着いた包装が好まれる。
日本の熨斗紙の国際的な影響
日本の熨斗紙や水引の美しいデザインは、海外でも注目を集めています。
例えばイタリアではフィアットの特別仕様車に水引デザインが採用され、日本の伝統美が現代のデザインに活かされています。
またアメリカでは高級ギフトブランドが日本の水引を取り入れ、ラグジュアリーなギフト包装の一部として展開しています。
さらにシンガポールでは和食レストランや日本文化関連のギフトショップで、日本式のギフトラッピングが人気を博しています。
このように、日本の熨斗紙や水引は世界各国のデザインやギフト文化に影響を与えており、伝統的な美しさと格式を兼ね備えた包装スタイルとして広まりつつあります。

イタリア
フィアットの特別仕様車に、水引デザインのステッカーが採用。
アメリカ
高級ギフトブランドが日本風の包装技術を導入。
シンガポール
和食レストランで、日本式のギフトラッピングが人気。
まとめ
日本の熨斗紙と同様の文化は、世界にもさまざまな形で存在しています。
中国では紅包(ホンバオ)という赤い封筒にお金を包んで贈る習慣があり、幸運や繁栄の象徴とされています。また、韓国ではポジャギと呼ばれる伝統的な布で贈り物を包み、美しさと環境への配慮を両立させています。欧米では、特にクリスマスや誕生日などの特別な機会に華やかなギフトラッピングが用いられ、装飾性の高い包装文化が根付いています。
このように、各国の贈答文化を知ることで、日本の熨斗紙の持つ意味や価値を再認識することができます。
イタリア・フィアットの特別仕様車やアメリカの高級ギフトブランドにも採用されるなど、国際的にも注目を集めていることがよくわかります。
熨斗紙の美しさや意味は、今後さらに海外に広まり、ギフト文化の中で新たな形として進化していくのかもしれませんね。